虐待と精神病(心の闇)

彼は4歳〜5歳からオネショをするようになり、長屋に引っ越した時には毎晩オネショと暴力地獄だった

2年生の続き
2年生の回想は長くなります
この頃にはもう彼の情緒不安定は凄まじいものであった
父が母に対する暴言暴力も酷かったが
彼に対する父と母の暴言や暴力は大変なものだった

 

父は彼を憎んでおり、又昔の自分の面影に怒りを覚えていた
そして、父は彼と姉に「母と父、どっちの言うことを聞くか?」
という質問をした
彼は両方と答えたが「両方はいかん」とのことで
母の病気の事もあり彼は「母の言うことを聞く」と答えた
まだ6〜7歳の子供だったためこんな返答しかできなかった
その事で増々彼の事を嫌った

 

母は病気の影響と日々のストレスのため、彼はその吐け口だった

 

父は基本的には子供には無関心だった
仕事で嫌なことがあったり、酒を飲んだり、彼が失態をした時には
容赦なく暴力を振るった
特に父は酒乱で、酒を飲むと通常の何倍もの狂気をみなぎらせた
酒が入り、酔いが回りだすと口を「チャッ チャッ」と鳴らし始める
この音が聞こえてくると恐怖
テレビに怒鳴ったり、母や彼に怒鳴ったりする

 

ある夏の日(終戦記念日)前後だったと思う
戦争のドラマを家族揃って見ていた
彼はドラマが終わった後に、(当時2歳)の「弟も赤紙が来たら戦争に行かないかんと?」
と母に聞いた、彼は弟を戦争に行かせたくないと思ったから聞いただけだった
すると父は激怒した

 

父「お前は弟を戦争にやるんか!!」
彼「違う、戦争には行ってほしくない」
父「お前は弟を戦争に行かすのか」
・・・話にならない

 

父はそう言って彼に正座をさせて太ももをグーで2時間殴り続けた
まるでミルコ・クロコップにハンマーパンチをするケビン・ランデルマンの様だ。

 

彼の足は赤黒く内出血し、歩くことも困難になる程ダメージを負った 
考えてみてほしい、7歳の我が子にそんな所業ができるだろうか?
後日、母が「お父さんが話があるみたいばい」と言われたので父の所へ行くと
「この前が悪かった」と一言
この頃の彼にはまだ男気の様なものがあった
謝ってくれるなら・・・と思い
「うん・・・」と答えた

 

 

彼の心に決定的な恐怖を植え付けた事件が起きた
理由はハッキリとは覚えていない、多分違うとは思うがこうだ
{一番奥の部屋にまだ幸せだった時に使っていた子供用の二段ベッドの一回が
寝床としてあったのだ、その日母は実家に帰っており、彼は幾日ぶりにベッドで寝ることが
できる日であった。彼のベッドの足元には彼の寝袋(今で言うシュラフ)が置いてあったのだ。
正に寝ようとしたその時、父がやってきたのだ・・・
そして、彼の足元にある寝袋を父がみて、これはなんだ?
と彼に問う。彼「寝袋」彼はそう答える、父「何でここにおいちょるんか?」
彼「分からん」    父「自分の事やろがあぁぁぁぁあ!」
と咆哮!!!
心臓が鼓動を早めているのか、それとも止まっているのか?分からないほどの旋律。
そして父は彼に襲い掛かった。
殴られる彼 それを傍観する姉
一瞬の隙を見つけて彼は逃げ出した・・・が!追いつかれ、父にマウントを取られた彼
両腕を押さえつけられる。
右の頬を殴られる、左の頬を殴られる
今普通に見ている総合格闘技のワンシーンの様だ。
殴られ続ける彼・・・
その時決定的に彼の心に刻まれた言葉・思い・感情
「殺される」
その時彼は本当に心の底から恐怖を感じたのだ。
本来ならそこまですれば母が止めてくれるであろう
だが、今母は居ない、姉は彼のことが心底嫌いだったので止めない、止められない
止めようものなら今度は自分に暴力が降りかかるからだ。
その時からだろう、彼は非日常的なことに遭遇すると足がすくみ、体が震え、体が熱くなり、
思考が止まってしまうようになっていった。

母に対しての愛情はあった、父からうける暴力の痛みをを共有していた
からでもある      のかもしれない
母の病気のため、家の中では自由に身動きが取れなかった
何をするにも母の許可が必要だった
家に上がる・トイレに行く・風呂に入る・離れの子供部屋に行く・寝る 等
寝床(はなれの子供部屋)に行くにはトイレに行き、風呂に入らなければならない
先に述べた制約のためである
制約を誤って犯してしまうと
殴る・家に上げてもらえない・他の兄弟と母で彼の悪口など彼に向って言う
蔑まれる・疫病神・気違い・バカアホ・ションベンタレ
食事を摂らせてもらえない・寝かせてもらえない・風呂に入らせてもらえない等
日常生活に支障をきたしていた

 

 

 

相変わらずオネショは続く

 

 

今思うと考えられないようなことが当時はまかり通る世の中であった様に思う

 

同じような事件が頻繁にあった
母がいない時にそれは起こった

 

また子供部屋に父が入って来た。
いつも病気の母の言いつけを守っている彼らを父は
疎ましく思っていたのだろう。
常に監視されていたのだ。
原因はもう覚えていない。

 

またそこで暴力が始まった、
体が硬直する、鼓動が早まる、恐怖が脳を支配する
が、
彼は一瞬の隙を見逃さなかった
姉が何か言葉を発し、それに父が反応して視線をそらしたのだ
その隙に彼はするりと父の拘束から抜け出し走り出した。

 

食卓の位置まで距離をとる彼、この後どうするべきか?
外か?隠れるか?いや、家の中に逃げ場はない・・・

 

父「こっちこんかぁ!」
姉「戻ってきなさい!」
彼{何で殴られるのを分かってるのに戻らないといけないのか!!}

 

父がこちらへと歩き始めた
まるでバイオハザード3に登場するネメシスの様だ。

 

もう考えている余裕はない
彼は玄関に向かった、そして靴も履かずに外へ飛び出して走った
「にかく遠くへ、父から距離を取らないと」
無我夢中で走り、長屋群からの脱出ルートである長い坂を下る。
後ろを振り返る余裕なんてない
坂を下りきる手前にブロック塀のある家を見つけ、そこへ身を隠す彼。

 

「ある程度距離はとった、隠れて様子を見よう」

 

ブロック塀の横から坂の上を見てみた

 

懐中電灯が揺らめいている 
大きな影が坂を下っている
恐怖・・・

 

「どうする?今走り出すと必ず見つかる。もっと奥へ行き身をひそめるか!?」

 

彼は身を潜めた、住人は寝静まる時間だ、見つからないように息を殺す。

 

懐中電灯の明かりがちらついているのが見えた、心臓が鼓動を早める。

 

懐中電灯の明かりが遠ざかっていった、ひとまず安堵した彼、もう家には帰れない。

 

「どうする?どこへ行けばいい?」

 

「本家の家?いやあそこに行っても俺をかばってはくれない。」
母方の祖父母の家しかない
かなり遠いがいつも歩いて遠くまで俳諧しているから何とかなる。

 

冷静なようにではあるが、こんなことをパニック状態で考えていた。
意を決し再び走り出す彼、顔中涙で濡れている
見つからないよう、追いつかれないように姿勢をやや低くして全力ではしった
泣きながら走った
そして、大通りに出た
まだ車は走っている、誰も助けてはくれない。
信号が赤に変わった、歩道僑を駆け上がる
また細い路地に入る
やがて本家の家が見えてきた、「ここはだめだ」通り過ぎる彼

 

疲れて走れない、どこかに自転車はないか?

 

彼は鍵のかかっていない自転車を見つけてまた走り出した。

 

また大通りを抜けて細い路地に入り、山道に入る
真っ暗だ
だが、お化けよりも怖いものが追ってくる
でも怖い
やがて祖父母の家の道筋に入る、ここで一つ難所がある。
お墓群があるのだ。
ここは我慢して全力で走り抜ける
祖父母の家の近くまで来た、自転車は見つかるとまずいからここに置いていこう。
最後の坂を登り、祖父母の家に到着した。

 

古びたチャイムを鳴らす

 

暫くして祖母が出てきてくれた、
祖母「まあ、●●ちゃんやないね、どうしたんねこんなじかんに
はよ上がりんしゃい。」
「助かった・・・。」
祖母はとても驚いていた、じいちゃんは   どうだったかな
恐らく怒ってたと思う。
すぐに父の家に電話をして、今日は時間も遅いからあずかると言ってくれた。
そういえば裸足で走ってきたから足の裏が真っっっっっっっっ黒になっていた。
お風呂で足を洗い、布団を用意してもらって眠りについた。

 

翌朝日曜日、目覚めると、一番親しくしていた従妹がきていた、「●ーくんどうしたと?足の裏真っ黒ばい」
足の裏をあんなに洗ったのにまだ真っ黒だったことを鮮明に覚えている。

 

その夜、父が彼を迎えに来た、彼は帰りたくない事を主張したが
明日は学校があるからと、父に引き渡された。

 

 

 

彼は眠れない

 

彼は眠ることを許されなかった

 

ひとたび寝てしまえばオネショをしてしまうからだ

 

母が寝る場所を用意しなければ寝てはいけないのだ

 

1,外で寝る

 

2,玄関の土間で寝る

 

3,トイレ、調理場、風呂へと繋がる汚い木廊下に横になる

 

上記であれば寝てもよかった。。

 

まず寝るためには手順がある

 

トイレに行き、風呂に入る
  綺麗な状態でなければ部屋には入れない
  トイレに行く理由としては、トイレに行ったら汚れるので
  必ず風呂に入らなければならない。
  なので、夜尿の自分は必ずそうしなければならない。

 

母の準備ができるまでは寝れない
  その日どこでどうやって寝るかは母が決めるので
  それまでは寝てはいけない

 

  テーブルの上にじかに寝る

 

  椅子を並べてその上に器用に体を伸ばして寝る
  (冬は石油ストーブを足元に)

 

  キッチンの廊下に新聞紙を引いて寝る

 

  寝袋で寝る←これはまだ好待遇

 

*寝るときには必ずおむつをさせられる  毎晩 

 

冬に足元に石油ストーブを置いて寝たとこに、寝ながら足を伸ばしたら
ストーブの上のお湯が沸かせるスペースに足を置いて寝てしまい大火傷

 

寝ている途中に燃料切れで空焚き状態で部屋中煤だらけ
彼の顔も鼻の穴も真っ黒
         そんなこともあった。

 

 

 

 

 

 

確か11:00になるとTVで世界の車窓からが始まるのでそれを見ると
まだ寝られないのかと、悲しくなった
「他の人達は(学校の同級生)もう普通に寝ているんだろうな」
そう思って何で僕はこうなんだろう、他の人と違う生活なんだろう。

 

父親は彼の呼び名を「奴隷」「泥棒」等と呼んでいた
決して名前を言う事は無かった。

 

漢を追及する父から見れば正に奴隷である。

 

玄関先で一晩を明かすことなんてザラにあった
皆はもう寝静まって幸せそうに寝ているのに
何で自分だけ・・・彼はいつもそう思っていた
自分は寝ることさえもままならない
犬の気持ちがよくわかる
何で俺だけ 俺ばっかり
そんな思いであった

 

小学低学年の子供を寝かせもせず
一晩中玄関先や外で過ごさせる
人間のすることではない
彼は自分の人生を呪った

 

 
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