初の精神病院を受診

彼は治らぬ理尿症に加え、異常な行動、悪事に手を染めていく。

初めてのタバコ

彼は集落の家から度々本家の家に顔を出した
この時既に過去への執着があったのだ
だが彼はそれだけにはとどまらなかった
曾祖母が店の一角でタバコ屋をやっていた
昔ながらの窓口販売だ
彼はタバコのパッケージの匂いが好きだった
そこで思いついた「タバコとライターをこっそりもらって吸ってみよう」
彼はタバコ屋に置いてあったセブンスターと100円ライターとこっそり
くすねて裏のもう一軒の家に行き、そこの庭の草陰に隠れてセブンスターの
パッケージの匂いを嗅いだ
「良い匂いだ」そしてパッケージを開けてタバコを一本取り出した
100円ライターで火をつけてみた、だが
タバコを吸いながら火をつけるという事を知らないため
火がなかなかつかない
そして、吸いながら火をつけることが分かり、無事着火!
初めてのタバコは苦いが新鮮な気分になった。
そうこうしていると土手に人が通る、庭の草むらに隠れる
通行人は煙が見えたのだろうか?立ち止まってこちらを伺う。
彼は隠れる、逃げる事には慣れていたので何とかやり過ごした。

 

 

 

 

 

彼の異常な行動はエスカレートしていった。
ある日の学校帰りに隠し持っていたタバコに事もあろうに友達の前で
火をつけたのである。
女の子「大人じゃん!w
他「そんなことしていかんとばい!
やめりぃ
彼は少しこれはやりすぎたと思い直し、タバコを捨てた。
これはさすがに先生に言いつけられ、呼び出され、注意された。
親にも話しが行き、また問い詰められ、殴られる。

 

 

彼はお腹が空いていた

 

いつも粗末な食事で、父親に怯えてろくに食事ができない彼は
常に空腹だった。
彼の悪行が進化していくに連れて、友達も居なくなっていった。
相変わらず空腹、家にも入れてもらえない、
彼はフラフラと俳諧するようになっていたある日
そうだ!スーパーに寄ってみよう
と、家から離れたスーパーへ行き、お菓子を物色、
ポテトチップスが食べたくて食べたくて服の下に隠して店を出た彼・・・
「やったばい!」
彼はがむしゃらにポテチをほおばった
「うまい!」
なんと素晴らしいことか!こんなものが食べられるなんて!

 

 

 

 

 

 

こんなことが日常化し、日に日にエスカレートしていく日々、彼の主食はご当地乾麺うまかっちゃんである。
おやつなんてものはない、家にもいたくないし、そもそも家に入れてもらえない。
そうすれば必然的に物を盗むしか方法が無いのだ。
ポテトチップス以外に好物と言えばやはりチョコレート(板チョコ)この誘惑には勝てない。
明治ミルクチョコレート、果ては当時人気を博したVIPチョコレートである。

これはうますぎた!濃厚芳醇にしてなんといっても分厚い!
口の周りをチョコだらけにして夢中で食べたものだ。
過去から現在までのチョコ歴史を見てもこれを超えるチョコレートはない!
ゴディバなんてものは口にしたことが無いので分からいのですが。

 

 

その後様々な窃盗や万引きを繰り返した彼(当時流行ったドラゴンボールZカード、ビックリマンシール等クラスメイトから盗む)は、父と母に精神科を受診させられたのでした。

 

どこの何と言う精神病院かは覚えていないのですが、とにかく沢山の塞ぎこんだおじさんやおばさんが待合室に沢山いたことを覚えている。
何故か彼も同じようにベンチに腰掛け、両腕を膝に置き、首をうな垂れて何故か周りと同じ格好になっていた。
それについて母が、「この子周りと同じ恰好しちょうがw」と言っていた。

 

診察
男性の先生の診察が始まった、話した内容は家族について、何故悪いことをしてしまうのか等
(詳細はどうだったかな・・・)
一番覚えているのは絵を書いたこと、山と川と木を書いて
それから家を描いた。
結果は分からずじまい、教えてもらえなかった。
ただ、先生からのアドバイスとしては体を動かし、発散させること。
「例えば体操とか・・・」と言う見解。
彼の両親は先生の言った「体操」ということしか頭になく、彼は
それならば”空手がやりたい”といったのですが、先生が体操といったから空手はだめだという事でした。
今考えればアホ丸出し、本人のやりたくないことをやらせてもまったく意味が無いのです。
体操よりも体を動かす・発散させるといった事に着目するべきであると思います。

 

結局彼は両親が探した体操クラブに入会することになった。
初めは地獄の柔軟体操、並べられたマットに子供たちがそれぞれ陣取り、個人で柔軟体操を始める、
端から先生二人組が一人を押さえつけて限界以上に股を裂き、20秒数える。
彼は先生が回って来る事が恐怖でならなかった、縦に股裂き、固定され、上からこれでもかと体重をかけられる。
痛い、苦しい、悶絶
それ方本格的に前転から始まり、徐々にレベルが上がっていく。
それなりにちゃんとしたクラブだったのでかなり厳しい、怒鳴り声も聞こえてくる。
彼はとても嫌だった。
一か月二か月経つにつれ、彼は上達し始め、少しではあるがその中で出来るようになっていく楽しみの
ような物が芽生えてきた。
だが、柔軟は相変わらず地獄の苦しみ。(この時体はかなり柔らかくなっていた)

 

彼の体は成長しているため身長も伸びてかなり背が高くなっていったが、それに伴って
彼の膝に異変が起こり始めていた。
半月板の下あたりがとがって痛くなってきた、立ち座りも痛い。
どこかに軽くぶつけても痛い、激痛。
体操の着地もろくにできない、痛くて着地できない、転がってしまう。
だが、両親は彼を病院に連れていく事は無かった。
この時も相変わらず暴言、暴力、ネグレクト、寝れない、多々続いていた。
精神的に何も発散できてはいなかった。
練習がない日は、盗み、万引き、お菓子や物に対する欲は日に日に増していく。
それと同時に、窃盗のスキルは上がっていった。
お菓子や物、本にとどまらず、自転車にも手が伸びていた。
小さいころから彼は自転車を買ってもらえなかったからだ、だらと言って盗んでいいものではない。
そして、親の財布にも手を伸ばすようになっていった。

 

 

 

 

 


 

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